時代の変化をしなやかに生き抜く──進化・変革・挑戦を実践するトップランナー

新規事業プロデューサー

日本のモバイルインターネット市場でさまざまな先端サービスを展開してきた株式会社サイバード。「Voice UI」という先端領域で精鋭部隊を率いる根岸 秀樹は、常に進化、変革し続けることを意識しています。そんな根岸が、AmazonやGoogleのローンチパートナーを勝ち取った行動力の源について語ります。

世の中が変わるとき、プレイヤーも変わる

▲Voice UIエバンジェリストの顔も持つ根岸 秀樹

SiriやGoogle アシスタント、Alexaなど、AIを搭載したスマートスピーカーは多くの人々にとって馴染みのあるものになってきました。

こうしたスマートスピーカーなどのデジタルアシスタント領域でサービス作りに取り組んでいるのが、根岸の所属するVoice UI部(声によるユーザーインターフェースを扱う専任部門)です。自ら部門を立ち上げ、その責任者として先頭を走る根岸のこれまでのキャリアは、“世の中の変化”がキーワードでした。

根岸 「私のビジネスキャリアは、広告・クリエイティブ・プロモーション周りから出版社、Webメディアと変遷してきましたが、一貫して“テクノロジーの進化によって変革を続ける仕事”に従事してきたともいえます。
サイバードには、もともとモバイル広告のメディアレップ事業を担当するためにジョインしました。そして異動を経て、2009年頃からコンテンツ事業を担当することになりました」

コンテンツ事業ではサブスクリプションサービスを立ち上げ、海外で注目されつつあったオンラインサロンプラットフォームの立ち上げていった根岸。そんな折、アメリカで存在感を増しつつあったAlexaからVoice UIに興味を持ったことで、今の部門が誕生します。

このような根岸の行動力の原点は、過去にありました。

根岸 「私は、90年代初頭、AppleのMacintoshが日本のクリエイティブの現場に初めて入ってきて、デザインや撮影のプロセスに大きな影響を与えた時代をリアルタイムで体感しています。

当時デジタルでクリエイティブな仕事をする環境を導入するには、機材やソフトウェアを揃える多額の先行投資が必須でした。個人でも意を決して投資して仕事をどんどん広げた人がいる反面、『いや、うちはアナログだから』と変化を受け入れずゆるやかに店じまいしていった人もたくさん見ましたね。

世の中が変わるときにプレイヤーも変わります。昨日まで聞いたことのない会社が急に時代のど真ん中に来て、ど真ん中にいたはずの会社がいなくなるという事があたりまえのように激しく起こります」

こうしたドラスティックな変化は、根岸に「時代の変化にいち早く対応したい」という強い気持ちを芽生えさせました。

この原体験があるからこそ、単にVoice UIにとどまらず、そこから先の新しいビジネスに備えて専任チームを作ろうと思った、と根岸はいいます。

たとえば、アメリカなど世界で大きなビジネスの兆しがあれば、それが動き始めたときに日本で最初に動きたい──

根岸 「Voice UIに固執しているわけではなくて、更に先のこともやりたいんです。そのためにも、専任チームは大きなアドバンテージになると思います。

今はわかりやすく「Voice UI」という名称を採用していますが、音声操作自体はその先の時代への架け橋となるUIと考えています。例えば、私たちはあと何年、部屋に入った時に照明のスイッチを物理的に点けるのでしょうか?人間が必要とするタイミングを理解し自動的に点いたり消えたりしてもいいですよね。

いまはまだVoice UIがIoT機器と繋がって操作環境を変えるきっかけに留まっていますが、ユーザーの状況を判断して様々な機器が連動するような、操作すら不要な時代が来ると考えています。そんな世界の第一歩を、私たちは踏み出していきたいんです」

行動力で切り拓いたGoogle、Amazonのローンチパートナー

▲一緒に道を切り拓いてきたVoice UI部の仲間たち

時代の最先端に挑戦する根岸ですが、日本人のデジタルスキルの低さがビジネスを前進させる上で気にかかると語ります。

ガートナー社が行ったグローバル調査(※)では、「ビジネス用途のデジタルスキルの自己評価」において日本は圧倒的に低評価という結果が出ています。それだけでなく、ワークプレイス系アプリケーション(ZoomやSlack、Google Workspace、Microsoft Teamsなど)の活用率も最低水準にあることが明らかになっているといいます。

根岸 「私たち日本人はテクノロジーを受け入れ速やかに変化していくことが相対的に苦手なようですが、Voice UIのようなテクノロジーは「エンタテインメントの手法」を用いて間接的に活用方法を提示し、普及に寄与する事が可能です。世界と比較してもユニークで新しい提案ができるとも考えています。

たとえば当社ではVoiceアプリケーションを永続的に提供できるAlexaのスキルを開発しました。常時秘書のように自分の好きなキャラクターがスケジュールを教えくれたら、ちょっとワクワクして、使ってみようと思いませんか。エンタテインメント企業だからこそできる提案こそ、われわれの使命かなと思います」

その他にも、当社はバンダイナムコアーツ社が提供する音楽ストリーミングサービス「MixBox」のAlexa版開発を受託し、日米両国で展開しています。在宅勤務に脚光があたるこのタイミングで、Alexaに24時間無料の音楽サービスを持ち込めるというのも、エンタテインメント企業だからこそできることです。

今や先端技術とエンタテインメントを掛け合わせ、日々新たな価値を生み出しているVoice UI部。しかし、部署を立ち上げるにあたって最初に行ったのは、GoogleやAmazonといった巨大プラットフォームのローンチパートナーとなるべく交渉をすることだったといいます。

根岸 「彼らと国内で一番初めにサービスを提供できる立場、ローンチパートナーとして交渉したかったのです。そのために、あらゆる手を尽くしてルートを作りました。

はじめは当然誰と交渉すれば良いかわかりませんでした。そんな折プラットフォーマーが主催するイベントで、デジタルアシスタント領域でのアジアパシフィック代表が来日講演する事がわかり、会場に突撃しました。

日本語で『ぜひ一緒にやりたい』とまくしたてて訴えたら、慌てて通訳の人がサポートしてくれて、実際にそこから商談が始まったのです。少々無茶ではありましたが、行動によって道を切り拓いてきた、という実感はありますね」

こうして根岸は、サイバードの歴史に新たな1ページを刻み始めたのです。

※ガートナー ジャパン株式会社による調査。対象は世界の主要9カ国の企業で働く従業員。2021年

自己研鑽は永続的に続けるもの。学習から行動につなげることに価値がある

▲Voice UI部主催の社内ハッカソンにて生まれたスキルが『Amazon Alexa Developerスキルアワード2019』にてヘルスケア部門賞を受賞。

これまで、サイバードでは「世界初」「日本初」の取り組みを行ってきました。その渦中にいる根岸は、デジタルアシスタントの分野でトップランナー企業であることの自負をこう語ります。

根岸 「主要プラットフォームのサービス企画開発(AlexaやGoogle Assistantなど)を手掛けるトップランナーであるからこそできる、アウトプットやコンサルティングがあります。その知見を社外に向けて提供できるという自信は、Voice UI部の運営を続けてきた経験からくるという面も大きいですね。

今ではVoice UI領域に関してだけでなく、新規事業やイノベーティブな事業環境を育むことを目的とした、イベントなどの企画運営も受託するようになりました」

根岸は革新的な新事業を生み出す目的から、アイデアソンのようなワークショップを取り入れたプログラムを作成。「なぜ企業として新規事業が必要なのか」「人材開発はどう進めるか」といった視点から、Voice UI部で培った思考やノウハウを、IT関連とはまったく違う領域の企業にも提供しています。

一方で、社内ワークショップも実施し、サイバードという企業をより強くすることにも取り組む根岸。“変化できる強さ”を、社員一人ひとりが継続的に受け継ぐ企業文化を作るためにも奮闘しています。

根岸 「おそらく私たちは、前例のないまだ見ぬ時代をどんどん加速して進んでいる真っ只中に生きていますよね。昨今のコロナ禍では従来の2年分の変化が強制的に2か月で起きたともいわれます。

そんな時代の変化の中では、過去の慣習や常識も変化し通用しなくなります。だからこそ『自己研鑽』を永続的に続けて行く意志の強さは、どんな世代、どんな職位の人間にも絶対に必要です。

その『自己研鑽』を起点に、新しい『行動』につなげていくことこそエキサイティングであり、価値があることではないでしょうか。この2点を実践できるチーム、会社であり続けたいと考えています」

特に根岸は、実際に行動することこそが何よりも重要だと語ります。「まずは動かないと何も始まらない。動いて初めて見える景色がある」という根岸の言葉には、実際に行動で道を切り拓いてきた自負からくる重みがあるのです。

「変化を肯定し推奨する環境」で創り出す未来

▲今後も時代のその先を見据え、トップランナーとして走り続ける

スポーツでもビジネスでも、プロフェッショナルとしての専門性を持ち、エッジがあるのはもちろん大事なこと。ただし、これからは単一職種に対する理解だけでは「未来」を創り出すことは難しいのかもしれない、と根岸は語ります。

根岸 「たとえば、『コードが書ける』といったプロフェッショナリズムだけではユニークで革新的なサービスは生まれません。ビジネスモデルへのリテラシーや人に寄り添うUXとクリエイティビティ、そのほか複合的な知識が必要な時代になってきていると思います。

少なからず、ビジネス・クリエイティビティ・テクノロジーを横断した知見は競争力になる。だからこそ『自分の専門分野じゃないから』と受け流すのではなく、貪欲に多様な知識を取り入れていくべきです」

常に時代の先端を走り、新しい道を切り拓いてきた根岸。では何故サイバードという場を選択し長いキャリアを築いているのか。

根岸 「ひとつ明確なのは、サイバードという会社が『変化を肯定し推奨している』、ということです。そもそもは携帯公式サービスをビジネスモデルとして誕生した会社でした。

スマートフォンの登場で、われわれは月額課金サイトからフリーミアムのアプリへ軸足を移しました。ビジネスモデルの大転換であり、変化を良しとした企業文化があったからこそ今のサイバードがあるといえます。時代の風を読んで変化を続けるためには、サイバードのような組織風土が必要なのです」

そんな根岸にとって、これから新たにジョインして欲しい人は、まだ見ぬ未来を想像して一緒にワクワクできる人。

平安時代の人が一生かけて受け取ったような情報量を、現代人はたった1日で受け取る──そんな面白い時代に生きているからこそ、何を成しどう変化すべきか考えられるマインドが重要だと感じているのです。

根岸 「少々大げさな例えかもしれませんが、スマホやモニターの光をこれほど浴び続けているというのも、人類史で初めてのことですよね。種としての肉体的進化は全然追いついていない。でもそんな急激な変化の時代に生きていることを『エキサイティングな機会』として捉えられる人こそが、いつか重要な何かを成すのではないでしょうか。

誰かの後についていくのではなく、この時代を一緒に創る。担い手になるぞ、というマインドがある人にぜひジョインしてもらいたいなと思っています」

変化を肯定し推奨する、サイバード。時代を引っ張っていく存在として、新たな道を切り拓くために、根岸はこれからも先頭に立ってチャレンジを続けていきます。

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