【ゆる恋】第1回 初級編 キャラクターを知って、動かす

 
こんにちは、シナリオ部の三本です。さっそく「ゆる恋」第1回です。
怒涛の連続更新に、サイバードシナリオ部のやる気、感じてください。
私たちが今書きだそうとしている「シナリオ」とは、文章を書き連ねて物語を物語ったものです。
では、物語とは何なのでしょう?
……これは沼深い系の問いなので、ちょっと迂回しましょうか。
 
◆物語は何でできてる?
では、ソーシャルノベル型恋愛ゲームの物語とは、どんな要素から出来ているのでしょう?
この問いなら割とシンプルですね。下記の3つに集約されます。

■世界観 …場所・時代・モチーフなどで形作られる、物語の舞台となる世界
■キャラクター… 物語の世界で生きている人(時には人外)たち
■ストーリー構成…物語の世界で生きている人(時には人外)の、課題と目標と行動と結末

深掘ればもっとあるとは思いますが、とっかかりはシンプルに越したことはないです。
まずは「物語はこの3要素から出来ている」という前提のもとに、シナリオ執筆に取り組んでいきましょう。
 
◆入社したてのライターがまず挑むお仕事
サイバードには未経験でライターになったメンバーがたくさんいます。
私もその1人です。入社してまず最初にする仕事がこちら。
絶賛運用中のタイトルに配属され、すでに作り上げられたキャラクターたちを知り、
彼らのシナリオを書けるようになること。
これがうまくいかず、書いたキャラクターが別人になってしまうことを「キャラブレ」と呼びます。
ソーシャルノベル型恋愛ゲームのライターになるには、「キャラクターを掴む」スキルが必須です。
でも、難しく考えることはありません。ちゃんとコツがあるんです。
 
◆キャラクターは何でできてる? キャラを掴むコツ!
キャラクターとは、ひとつの人格です。人格の要素を、こんな三角形で捉えてみましょう。
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①言動(台詞・動作)
三次元でも同じですが、コミュニケーションをする上で、人格が外面に現れる部分、それが言動です。
そのキャラクターらしい言葉を話させるには、まずは何より、呼称・口調・口癖を把握しましょう。
デジタルに正しい・正しくないの判断ができるので、とっかかりに最適です。たとえば。
・キャラクターAはBさんに対しては、上司なので「さん」づけ、敬語で話す。
・Cくんに対しては、友達なので呼び捨てし、タメ口でしゃべる。
・語尾は「だぜ」「だろ」と荒っぽい。「だよ」や「だね」とは言わない。
・相手の発言を肯定する時は、「うん」じゃなくて「おう」と応じる。一人称は「俺」。etc…
こんな切り口でキャラクターの「話し方」を押さえることが、キャラクターがブレる(キャラブレ)のを回避する第一段階です。
これが今日の講座の中で一番重要な点です。もう一回書いておきます。
ついでにフォントも大きくしておきますね。
キャラクターの「話し方」を押さえることが、
キャラクターがブレる(キャラブレ)のを回避する第一段階。

当たり前と言えば当たり前。
ですが、当たり前だからこそ、ここをすっとばすと、ライターとして働くチャンスを逃してしまいます。
要注意です。しつこくてすみません。
 
②思考
人が言葉を話したり何がしかの行動に出たりする前には、頭で考えたり、心で何かを感じたりする、思考の段階があります。
イケメンシリーズのシナリオでは、キャラクターがどんなことを考えているかも文章として書き込まれています。
いわゆるモノローグ・心中語と呼ばれる部分です。
ここも、呼称・口調・口癖を押さえ、キャラブレが起きないようにしましょう。
 
③性格・価値観
思考について前述しましたが、人それぞれが持つ性格や価値感によって、思考(どう考えどう感じるか)は変わります。
何が好きで何が嫌いか。何が特技で何が苦手か。何を人生の目的とし、何を大事にしているか。
このような性格と価値観を下敷きに、キャラクターは思考し、それが言動に表れます。たとえば。
「強さこそ正義だ」という価値観を持つ人物、キャラクターAがいるとします。
彼は常々(強くなりたい)と思考しているでしょう。
そして、ライバルに遭遇すれば、(これは好機だ)と思考し、「ここで会ったが百年目! 覚悟しろ」と台詞で語り、「剣で切りかかる」という動作にでるでしょう。
しかし、キャラクターAが「ことなかれ主義」という価値観の持ち主だった場合、リアクションが大きく異なってくると考えられます。
彼は常々(平和が一番だなあ)と思考していることでしょう。
きっと、誰かをライバル視することもありません。
万が一、一方的に自分をライバル視する人物と遭遇した場合は、(面倒なことになりそう)と思考し、「あっ、急ぎの用事を思い出した」と台詞で語り、「すたこらその場を去る」という行動に出るでしょう。
このように、キャラクターの性格・価値観と、シチュエーションの掛け合わせで、キャラクターの言動・思考はガラリと変わってきます。
 
④生い立ち・経験
キャラクターが現在の性格・価値観を持つに至るには、そのきっかけがあった、と考えてみましょう。たとえば。
先ほど登場したキャラクターA、彼は幼い頃はとても優しい子どもでした。
ですが、ある時容赦のない侵略者に襲われ家族を殺されてしまったという経験ゆえに、「強さこそ正義だ」と考えるようになりました。
このように、キャラクターの来歴が、そのキャラクターの性格や価値観を理解する糸口になります。
 
⑤出自
どんな場所で生まれたか? 両親はどんな人? 兄弟がいる? お金持ちか貧乏か? 王族か庶民か? キャラクターがどんな境遇で生まれ落ちたかで、その人に降りかかる出来事、つまり、生い立ち・経験が変わってきます。たとえば。
先ほど登場したキャラクターAは、子どもの頃、大金持ちの息子として両親に溺愛されていました。
何ひとつ不自由のない生活を送っていた子ども時代。
だからこそ、資産に目をつけた侵略者に家族が襲われ、金は盗まれ、幼い妹は誘拐され、身ぐるみはがされることになりました。
このように、キャラクターの出自は来歴に密接に関わっています
――余談ですが、例として登場したこのキャラクター、アドリブで作ったものの滅茶苦茶に悲惨ですね。不憫……。救いのあるストーリーをあとで考えようと思います……。
 
◆お客様の目線で考えると
キャラクターの過去、彼らが何を語りどう行動するか。
愛の深いお客様ほど、それをよくご存じです。

だからこそライターは、キャラクターの人格を尊重し、しっかりと把握することが必要です。
今日お伝えした5つの要素を切り口に、ぜひ、キャラクターを分析してみてください。
彼らを動かそうとする時に、きっと役に立つはずです。
「このキャラクターは、このようなシチュエーションではどんな行動に出る?」
「このキャラクターは、こんなふうな言葉を投げかけられたら、どう答える?」
その正解をライターは知りません。
キャラクターの言動の正解は、キャラクターの人格の中にあるのです。
 
――はい。そんなこんなで、第1回はおしまいです。いかがでしたか?
「ゆる恋」があなたのシナリオ執筆の一助となれば幸いです。
今後も、私たちと一緒に、面白いシナリオをたくさん生みだしていきましょう。
ゆる恋第1回 おわり
 
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