代表・堀と注目社長の対談シリーズ
《挑戦と情熱の経営》
第8回:株式会社リアルワールド 菊池社長「非合理という合理を追求する」

REPORT「イベント/プロモーション」

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  • 第8回菊池 誠晃
  • 非合理という合理を追求する
    株式会社リアルワールド 代表取締役社長
  • 第6回丹下 大
  • 論理と感性の両面から品質を追求
    株式会社SHIFT 代表取締役社長
  • 第6回岡 隆宏
  • 和製ファストファッションとして、
    新たな挑戦を
    夢展望株式会社 代表取締役社長
  • 第5回藤田恭嗣
  • 電子書籍ソリューションで先んじる
    株式会社メディアドゥ 代表取締役社長
  • 第4回杉山全功氏
  • 現場に任せるゲームのマネージ
    株式会社enish 代表取締役社長
  • 第3回経沢香保子氏
  • 女性が輝く社会を目指して
    トレンダーズ株式会社 代表取締役社長
  • 第2回高島宏平氏
  • うまいものと生産者への愛
    オイシックス株式会社 代表取締役社長
  • 第1回須田将啓氏
  • 危機局面での決断と覚悟
    株式会社エニグモ 代表取締役 最高経営責任者

[対談シリーズ]挑戦と情熱の経営

転載元:財界 夏季第2特大号/構成:大平明

[第8回]

非合理という合理を追求する

株式市場へ新規に上場した注目のベンチャー企業経営者を招き、
挑戦精神と情熱に溢れる経営手腕に迫るシリーズ。第8回は、クラウドソーシング事業で
躍進を続けている(株)リアルワールドの菊池社長に登場いただきます。

サイバーエージェントで

企業文化創りを経験

菊池 誠晃

きくち・まさあき/1978年、愛媛県生まれ。97年、大学在学中にWEB制作会社を起業。2001年、もっと大きな市場でインターネットビジネスを仕掛けるべく上京。同年10月、株式会社サイバーエージェントに入社。数々の新規事業の立ち上げを行う。05年7月株式会社リアルワールドを設立、代表取締役社長に就任。

この対談は、本社1階のシアターサイバードにて、
社員に向けて行われた。

 菊池さんは学生時代に、一度ウェブ制作会社を起業されて、その後サイバーエージェントに入社されましたね。

菊池 大学生の頃、黎明期だったインターネットにのめりこみ、独学で勉強していました。そのうち大学の教授から企業のWEB制作の仕事を紹介して頂くようになり、法人事業化したんですが、労働集約的だという事でやめました。その後、仕事を任せてくれて、自己成長できるカルチャーがあると感じたサイバーエージェントに入りました。急成長している時期で、退職率をいかに抑え、マネージャーや幹部をどうやって育てていくか。企業文化が創られていく過程を見られたのが、財産です。

900万人の仮想会社

 リアルワールドのクラウドソーシングについて、教えてください。

菊池 現在約900万人の会員がいるんですが、例えば900万文字を入力する作業に対して、1人が900万文字を入力するには、膨大な時間が必要ですが、900万の会員がそれぞれ1文字入力するだけで、入力が一瞬で終わる。着目したのは、サイバーエージェント時代、掲載されている広告のサービスを利用することでポイントが付与されるポイントサイトに携わっていた際に、「ユーザーは様々な隙間時間を上手に使って、ポイントを得ている」と思ったんです。また、私は地方出身なので、地方の主婦など様々な方が、電車での移動時や子供が昼寝をしている時など、時間や場所を選ばず働ける場を作りたかったんです。膨大なルーチン作業を細切れにして作業をしてもらい、最後にひとまとめにして納品すれば、大きな価値が生まれると考えました。

 すぐ軌道に乗ったのですか?

菊池 納期と品質の保証が壁でした。大量の仕事を頂き、なんとか納品できたと思っていたら「8割の品質が駄目だ」と言われた。それがきっかけで、契約する段階で、どのような品質を求めるのかをすり合わせし、それを保証する体制と仕組みの再構築をしました。文字入力の仕事であれば、ユーザーに作業していただいた後、別の人間が目視してクオリティーチェックをしたり、システムチェ
ックをしたりします。

KPIよりマインド

 プロジェクトが成功するかどうか、判断するポイントはありますか?

菊池 KPIを立てても、社員に「やりきろう」という思いが無ければ意味がないと。逆に、計画が多少駄目でも、主体性を持ってやりきれば、穴埋めできる。社員を教育し、制度を整えたら、半年で売上が倍になった。マインドや本気度を重視しています。

 会社作りをするうえで、心掛けている事は?

菊池 組織図の無い組織を作ろうと。人は役割を厳密にするほど、役割から出られなくなり、それ以上の発想を持てなくなる。子供時代を思い出すと、遊びの場面など、その時々に最適なグループを作っていた。これが一番強い組織だと思うんです。「役割という合理は非合理だ。非合理という合理を追求しよう」と、言ってます。社会が多様化していく中、マニュアルではなく、相手が何をすると喜ぶかという感受性を鍛えないと良いサービスは提供できない。だから、現場に権限を広げてお客様に対応する。これからの企業は、そういう部分で差が付くと思います。

 会社を大きくするが、1社に1000人いる会社ではなく、10人の会社を100社作りたいと発言されていますね。

菊池 組織って100人位になると、個人の強みが薄れていってしまう。多様化する価値観に、どう応えるかという時に、画一化された組織では限界が来る。1000人のガチガチの組織を作るより、小さい組織が柔軟性や独立性を持ち、事態を素直に受け入れ対応するという状態が、本当の強い組織じゃないかと。

 今後のリアルワールドが目指すところを教えてください。

菊池 インターネットによって無くしたリアルなものを、新しい形で取り戻す事。日々のちょっとした出来事で幸せが満たされることがありますよね。そういったものをリアルワールドで提供しつづけたいと思っています。

【株式会社リアルワールド】
時間や場所に関係なく、自分のペースで働くことができるクラウドソーシングサービス「CROWD」、ネットショッピングやサービスの利用でポイントを貯めることができるクラウドメディアサービス「Gendama」「ライフマイル」、貯めたポイントを現金や電子マネーに交換することができる「ポイントエクスチェンジ」を運営。総会員数898万人を超える。(2015年3月末)

聞き手

株式会社サイバードホールディングス代表取締役社長兼グループCEO

堀主知ロバート

ほり・かずともろばーと/1965年、米国ワシントンDC生まれ。関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。98年、モバイルサービスを提供する株式会社サイバードを設立、代表取締役社長に就任。2002年、『BusinessWeek』誌アジア版の「The Stars of Asia 25」に、『TIME』誌の「世界のビジネスに影響を与えた若手15人」に選出。05年、世界経済フォーラムの「若き世界の指導者237人」選出。