代表・堀と注目社長の対談シリーズ
《挑戦と情熱の経営》
第7回:株式会社SHIFT 丹下社長「論理と感性の両面から品質を追求」

REPORT「イベント/プロモーション」

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[対談シリーズ]挑戦と情熱の経営

転載元:財界 2015 4/21号/構成:大平明

[第7回]

論理と感性の両面から品質を追求

株式市場へ新規に上場した注目のベンチャー企業経営者を招き、
挑戦精神と情熱に溢れる経営手腕に迫るシリーズ。
第7回は、ソフトウェアテスト事業で躍進を続けている(株)SHIFTの丹下社長に登場いただきます。

丹下 大

たんげ・まさる/1974年広島県に生まれる。2000年京都大学工学研究科機械物理工学卒業後、株式会社インクス(現 Solize(株))に入社。たった3名のコンサルティング部門を、5年で50億、140人のコンサルティング部隊にする。2005年9月、コンサルティング部門マネージャーを経て、株式会社SHIFTを設立。代表取締役に就任。

 SHIFT社は、ソフトウェアテスト事業をされていて、丹下さんが前職でされていたハードウェアのコンサルティングとは、違うと思うのですが、事業を変えられたのは?

丹下 初めてソフトウェアテスト領域における業務改善のコンサルを受注した時に「もの作りの時間短縮の経験がソフトウェアテストにも活かせる」と思ったんです。マーケットも大きくて、4兆円。ほぼ、インハウスでやっている。ただ、エンジニアは、新しいものを作りたい、テストに時間を使いたくない。僕らみたいなアウトソーシングの会社が必要だと思ったんです。

 新アプリの最終チェックの段階で、想定していない事が起こることがあります。どうしたらリリース前にできるだけ発見することができるでしょうか?

丹下 過去のテストケースに沿うことと、網羅的にアプリを使いまくる事ですね。テストケースでは、過去のデータを参照し、不具合が出やすい部分を狙い打ちする。ただこれだけだと、例えばソーシャルゲームでキャラクターの色が違っていても、テスト担当者は気付けないが、ファンの人間だったら気付く。だから、ここはアドホックが得意な人が担当する。SHIFTではどちらかに偏らず、統計データを基に、両方をいいバランスで実行しています。

 高い品質を保持する為に大切なことは、何でしょうか?

丹下 「魅力的品質」と「当たり前品質」の2種類があります。魅力的品質は、ユーザーエクスペリエンスを高める事で、例えば、ゲームの雰囲気を高める為に、どうするかなど。これは、論理的には行かない。一方、当たり前品質は、ゲームを始めたら、サーバーが落ちるなんて事はあってはならないので、できるだけ論理的に。二つの品質を、分けて考えています。

【株式会社SHIFT】
2005年9月、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念に掲げ、丹下大により設立。「すべてのソフトウェアにMade in Japanの品質を」を合言葉として国内3拠点とインドにテストセンターを構え、ソフトウェアテスト事業を提供。2014年に東京証券取引所マザーズに上場し、更なる事業展開を推進している。

合議制は取らない

この対談は、本社1階のシアターサイバードにて、
社員に向けて行われた。

 これまでを振り返って、辛かった事と、それをどう乗り越えたか教えてください。

丹下 起業して3年目までは、様々チャレンジをしていました。モバイルサービス、ポルシェのレンタル、ことごとく失敗して。僕らは元々、業務改善とかが得意分野だったんで、そこに集中してからは、業績が伸びた。選択と集中です。

 あまり、しんどそうに聞こえないですね。

丹下 そうですか(笑)。確かに、無借金で経営的にはしんどくなくて。でも、精神的に辛かった。社員に「経営能力ないんだから、みんなで考えよう」って、責められてました。その時に「人の意見は聞かない」 「愛情に優先順位を付ける」 「自分たちの得意な分野に集中する」。この3つを決意したんです。

 人の意見を聞かない? 人の意見を聞くというのが常識的だと思うんですけれど。

丹下 人の話を聞くと、アイデアが丸くなって、最大公約数みたいな仕上がりになる。ショボくなる。だから、人の意見は聞かない。今、僕が全部決めていて、合議制にならないようにしてます。ただ、より高い視線で、皆よりも10段階くらい上の視点で考えています。

 あと、お聞きしたいのが、「愛情に優先順位を付ける」、どういう意味でしょうか?

丹下 元々は博愛主義者だったんです。全ての人を幸せに、と。でも、社員500人全てに愛情を与えようとすると、一人あたり500分の1になり、影響力がないんです。だとしたら、周りの人を愛していく。僕が役員を愛すると、愛された役員は下のマネージャーを幸せにする。だから、優先順位を付ける。

 確かに全員に届けることは、出来ないですからね。

幸せの手助けをしたい

 地元はどちらですか?

丹下 広島県の福山市から北に10キロくらいのところです。神石牛が有名です。神石高原町にふるさと納税を集めて、例えばコールセンターを作って、配送が必要になって。雇用を生みたい。あと、品川区のアドバイザーも務めていて、ビジネスオーディションの審査員をやってます。人を応援するのが好きなんです。だから、僕が学んだノウハウや能力を使って、周囲の人が幸せになるのが、僕の喜びです。

聞き手

株式会社サイバードホールディングス代表取締役社長兼グループCEO

堀主知ロバート

ほり・かずともろばーと/1965年、米国ワシントンDC生まれ。関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。98年、モバイルサービスを提供する株式会社サイバードを設立、代表取締役社長に就任。2002年、『BusinessWeek』誌アジア版の「The Stars of Asia 25」に、『TIME』誌の「世界のビジネスに影響を与えた若手15人」に選出。05年、世界経済フォーラムの「若き世界の指導者237人」選出。