代表・堀と注目社長の対談シリーズ
《挑戦と情熱の経営》
第5回:株式会社メディアドゥ 藤田社長「電子書籍ソリューションで先んじる」

REPORT「イベント/プロモーション」

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[対談シリーズ]挑戦と情熱の経営

転載元:財界 2014 10/7号/構成:大平明

[第5回]

電子書籍ソリューションで先んじる

株式市場へ新規に上場した注目のベンチャー企業経営者を招き、挑戦精神と情熱に溢れる経営手腕に迫るシリーズ。
第5回は、電子書籍業界で躍進を続けている(株)メディアドゥの藤田社長に登場していただきます。

日本一の書籍売上を窺う

藤田恭嗣

ふじた・やすし/1973年生まれ。1994年、名城大3年の在学中に起業し、大学卒業と共に法人設立。モバイルを軸に、インターネット上で音楽をはじめとしたデジタルコンテンツとそれを配信するプラットフォームソリューションをセットで提供し、著作物のデジタルコンテンツの流通を推進。近年は電子書籍事業に注力している。徳島県木頭村出身で、故郷の地域振興にも熱心。2007年には、同町にサテライトオフィスとして徳島木頭事務所を設けている。

 94年の大学3年在学中に起業されていますね?

藤田 当時は元手がかからない携帯電話の販売をしていました。

 その後、メディアドゥを設立された。

藤田 99年に設立して、iモード時代になるタイミングでインターネット事業を始めました。

 携帯電話を売った資金で留学するつもりだったとか?

藤田 数年行くには最低でも400万円必要だと考えてましたが、ここだけの話、大学の卒業直前にはタンスに現金4000万円程ありました。

 販売会社が沢山ある中で、どんな方法で売ったんですか?

藤田 とにかく代理店を開拓していきました。

 でも、22歳で代理店に信用されて契約できたのは何故?

藤田 僕の力というよりも、みんなが携帯を欲しがっていました。物量が増えれば仕入れ先との交渉もしやすくなりましたね。

 やっぱり現場で学んだ事が多いんですね。

藤田 ポジショニングマーケティングをと社員に言ってます。マーケット規模は?将来的にどうなりそう?世界に行くべき? iモード時代みたいな歴史が、もう一度来る?等を考える必要があると思います。

 いくつかの会社が電子書籍を始めた頃、世間は冷たかったと思いますが、藤田さんには信念があった?

藤田 05年頃、音楽配信事業が当たってはいましたが、マーケットシェアを100%にする事はできないと判断し、音楽配信で学んだ事をパッケージ化し、ソリューションを作って売っていこうと考えました。

 なぜ、電子書籍を選んだんですか?

藤田 電子書籍は参入障壁が高くライバルが少ないのでシェアを取れると考えたんです。

 その足掛かりは?

藤田 ソリューションを作り、出版社回りをして、IT企業に「電子書店を立ち上げませんか?」と提案しました。人任せにせず、自分でやる事が重要でしたね。弊社のソリューションを使う事で初期費用とシステム利用料は頂くが、コンテンツに関してはロハで卸すビジネスモデルでした。その後、スマートフォン登場で、回線速度が速くなり、フォーマットがEPUB3形式に統一され制作コストが圧倒的に下がった。それで出版社がコンテンツを出しやすくなり普及していったんです。

 昨年の秋に上場されましたが率直なご感想を。

藤田 出版社は作家から預かった作品をよく分からない会社に預けにくい。でも、上場していると取引先に安心を提供できます。それが一番大きな発見でした。

 そして、アメリカのオーバードライブ社と提携された。

藤田 世界の電子図書館3万館にソリューションを提供している会社の200万冊中の数十万冊を日本で扱う事ができる会社は弊社しかない。日本のコンテンツを日本にいながら、世界中の多くの図書館で配信することもできます。

 さらに、LINEの書籍も引き受けていますね。

藤田 電子書店の売上としては、日本で1、2位を争う書店になっていくと思います。Amazonを抜く可能性があるとも言われていますね。

【株式会社メディアドゥ】
1999年に創業し、モバイルインターネット事業を開始。近年は電子書籍事業を推し進め、紀伊國屋書店やLINEマンガのコンテンツ取次のほか、ソフトバンクとスマートブックストアを共同運営するなどしている。また、今年5月には、米・オーバードライブ社と業務提携し、海外進出や電子図書館といった事業展開も見据えている。

故郷の振興に取り組む

この対談は、本社1階のシアターサイバードにて、
社員に向けて行われた。

 ところで、経営方針は?

藤田 とにかく丁寧にしっかりと。確実でミスがないようにすることです。

 真っ直ぐな経営者ですね。藤田さんは徳島出身で、柚子を県の基幹産業にして人口を増やす構想を持たれてますが、どんな事をしたいですか?

藤田 96年に親父が亡くなった際に自分の人生に向き合い、30の時、「僕は地元貢献を考えていかなければいけない」と決めたんです。柚子や今までの経験をフルに活用して、地元に恩返しをしたいです。

 地元に何が出来れば、満足する恩返しになりますか?

藤田 故郷の木頭村の人口を500人増やす事が目標です。

聞き手

株式会社サイバードホールディングス代表取締役社長兼グループCEO

堀主知ロバート

ほり・かずともろばーと/1965年、米国ワシントンDC生まれ。関西学院大学卒業後、ロンドンへ留学。98年、モバイルサービスを提供する株式会社サイバードを設立、代表取締役社長に就任。2002年、『BusinessWeek』誌アジア版の「The Stars of Asia 25」に、『TIME』誌の「世界のビジネスに影響を与えた若手15人」に選出。05年、世界経済フォーラムの「若き世界の指導者237人」選出。