【ゆる恋】第4回 初級編 なぜ書き方を勉強しなくちゃいけないの?

 
初めまして! CYBIRDシナリオ部の園出です。
ゆる恋第4回は、私がお話をさせていただきます。
今回はとっても初歩的なお話をしたいと思います。
主にこれから恋愛ゲームのシナリオライターになる方向けの、心構えのお話です。
第1回・第2回・第3回の復習も兼ねて、しばしお付き合い頂けますと幸いです。
さて、第1回・第2回と、三本さんによるキャラクターやストーリー構成に関するお話がありました。
いかがでしたでしょうか。
 
「なんだか難しそう……」
「どうしてそんなに色々考えなくちゃいけないの?」
「構成なんて考えずに書いていても、物語の起伏くらい付けられるよ」

なんて思いませんでしたか?
ライターとしての勉強を始めたばかりの頃の私は思いました!
しかし、仕事としてコンスタントに物語を書いていく場合、
自分の感覚だけに頼っているといくつかの壁にぶち当たることがあります。

……ということで、今回は3つの壁を通して、
「なぜこうして色々勉強し、シナリオの作り方をシステマチックに捉える必要があるのか」
その理由についてお話したいと思います。
 
 
◆ライターの前に立ち塞がる3つの壁
 
1.クオリティの壁
演劇でも映画でもゲームシナリオでも、エンターテイメント作品を作る以上、なくしてはならない大切なものがあります。
それは、客観性です。
客観性がないと、自分の中にある物語をうまく文章として出力できているか否かの判断が付きにくくなってしまいます。
説明すべきところを頭の中に置き去りにしてしまうと、「自分では伝えてるつもりなのに伝わっていない」という事態が発生し、自然とシナリオ全体のクオリティも落ちてしまいます。
また、シナリオは、なるべく読んだ人の心を揺さぶる形で、効果的な伝え方を選ぶ必要があります。
こちらも、適切な伝え方を選べなかった場合、「よくわからないけどなんか面白くない…」という事態が発生します。
 
2.理想と現実の壁
仮に、これから書くシナリオのテーマはもう決まっているとします。
そしていざシナリオを執筆する段階になった時、どこを目指していけば良いのでしょうか。
仮に、「○○(タイトル)みたいな物語を書く」あるいは「○○さん(ライター名)のようなシナリオを書く」という目標を立ててみるとします。
これでは目標が漠然としすぎていて、どうすれば到達できるのかも、明確な到達地点がどこになるのかも分かりません。
「こんなシナリオが書きたい!」という願望は、執筆する上での大きな原動力になりますが、
そのためにしなければいけないことが分からないままだと、理想と現実の乖離ばかりが目について大変辛いことになります。
 
3.ネタ切れとモチベーションの壁
ノリにノッてる時は、手が止まるなんていうことはありません。
「キャラが勝手に動くってこういうことか……!」と、何かを掴めたような気にもなれます。
……しかし、毎日そんな風にゴキゲンではいられないのが人間です。
書きたいことや、その先の展開が全く思いつかない日もあります。
そんな時に限って、出社前に雨で濡れた道路でこけたり、鳩のフンが頭に直撃したりもするわけです。
テンションだだ下がりです。
こうなったらもう、どう頑張っても良い案が浮かばないような気さえしてきます。
しかし迫る締め切り。焦れば焦るほど頭の中は散らかっていきます。
どの壁に当たった時も辛く、果てしなく高い壁のように見えます。
今すぐ全てを放り出して暖かい南の国に旅立ってしまいたい気持ちにもなります。
……そんな時に、この壁を打ち破ったり、飛び越えたり、抜け道を見つけたりすることを手伝ってくれる魔法の道具があるのです。
それが、ストーリー構成やキャラ作りについての知識です。
今までの連載でご説明したことの中から、この魔法の道具をピックアップしてみましょう。
 
 
◆3つの壁を壊す魔法の道具
 
1.ストーリー構成力
物語の骨組みを学んでおくと、それがクオリティを測るものさしになり、客観性にも繋がります。
・お話の山谷や伏線は作れているか。
・主要キャラクターの課題と目的は提示できているか。
・問題解決のアクションは、キャラクターを魅力的に見せているか。
・主要キャラクターはきちんとラストに成長しているか。

そうやって自分の中でチェックリストを作っておくと、自分の頭の中にある物語をきちんと文章に出力できているか・伝え忘れが無いかどうかを簡単に確認することができます。
また、「自分のシナリオが人に見せて良いレベルになっているのかどうか分からない……」という地獄のような悩みからも抜け出せます。
 
2.分析力
物語の骨組みに関する知識は、自分の執筆時に役立つだけではありません。
自分が面白いと思った映画や小説・シナリオを三幕構造に落とし込み、分析してみてください。
こうして人のシナリオを分析しているうちに、なぜそのシナリオが魅力的に見えるのか、感動するのか、こんなにも心に残るのか……という部分が、はっきりと見えてきます。
もちろん、そのシナリオを作った人の感性や表現力による部分も沢山あるかと思います。
しかし、構成力や、キャラクターの掘り下げ方などの部分も大きな要素を締めています。
自分のシナリオと比較すれば、上達のためにクリアすべき課題が見えてきます。
シナリオの分析は、気づきが多くてとっても面白いのでオススメです!
 
3.キャラクター設定の把握・深堀り
ネタ切れを感じた時は、キャラクターを知って、動かすということを改めて意識してみると、突破口が見つかることがあります。
・このキャラなら、どういう行動をとるか。
・どんな価値観を持っていたか。
・このキャラの魅力をお客様に分かってもらうには、どんなエピソードを入れれば良いか。

そんなことを考えているうちに、ふっとアイデアが浮かんでくることがあります。
恋愛ゲームは特に、「いかにキャラクターの魅力をお客様に分かっていただくか」というところが課題になってきますので、こういった切り口でストーリーを考えると良い方向に転がっていくことがあります。
 
【結論】
書き方を勉強する理由は、ライターとしての武器を増やし、障害となる壁を壊すためである。

 
ちょっと小難しいと感じるかもしれませんが、思い通りのシナリオを書くためには、結果的に近道となります。
思いつくままに執筆するのが、どんな場面でも悪いというわけでは決してありません。
しかし、品質を保ったまま、コンスタントに一定の文字数を書くには、必ず何らかのツールが必要になってきます。
シナリオの構造やキャラクターの作り方をシステマチックに捉えておくことは、きっとあなたのシナリオ作りの助けになるかと思います。
 
そんなわけで、今までの復習を交えつつお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後に…
脚本術の本やこの講座もしかりですが、人が人に伝えられる技術は、基本的な土台のみになるかと思います。
ケーキで言えばパイ生地やスポンジ部分です。
この土台をデコレーションする方法や素材は無数にあり、好みの味も人それぞれです。
好きな映画やゲームを分析してみたり、書きたいテーマについて考えてみたり、経験や知識をシナリオに反映してみたりして、土台に自分なりのデコレーションを施していってください。
それをお客様に美味しく味わっていただくのが、シナリオライターの仕事だと思っています。
読んでくださった方に、ひとときでも幸せを感じて頂けたら最高ですよね!
勉強することは尽きないので、私自身も、このブログを読んでくださっている皆様や仲間たちと一緒に日々精進していきたいと思っています。
それでは次回もよろしくお願いします!
 
ゆる恋第4回 おわり
 
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